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107 チャンさんからの突然の電話
その翌年の五月だったでしょうか。ロナワラのヨーガ大学のスワミ・マヘーシュワラナンダ師が来日しました。佐保田先生生誕100年の催しで、招聘され、講演をすると言う事でした。その後日本各地で講演、ワークショップなどをして、最後東京で集まりをするので、そこでインド音楽の演奏をしてもらえないかと頼まれ、参加する事になりました。
そんな頃、突然電話があり、それは何とあのチャンさんでした。
「アキコさん。憶えていますか? 私の事」
と懐かしい声がしたとき、思わず私は笑ってしまいました。チャンさんも明るい声で笑っていました。
「わぁー、元気?久しぶりですね」
と私が言うと
「アキコさんは、超越してるから、もう過去の事は忘れて、私の事も憶えてないんじゃないかと心配してましたけど」
と言われてしまいました。確かにほとんどのクラスメートのことは忘れていましたが、チャンさんのことを忘れるのは難しいものがあります。
「あれからどうしましたか?」
と聞くとあの懐かしい『うふふ』の笑い声のあとで
「エーーー。キャー−ー。恥ずかしい」
と一人で興奮しています。
「あれからグジャラートのスワミ(ロマンスの相手)
から電話があって、ムンバイで会ったんだけど、すぐにアメリカに行く事になっていて時間がなかったの。だから私は帰国する事にしたんだけど,スワミはコレラになって結局アメリカにはいけなくなって、もう何が何だかよくわからなかった。そして私は今年も試験をロナワラに受けに行ってきた。皆、元気だった。私はまたもや、提出課題を今期のいちばんハンサムな男の子にやってもらって、なんとか切り抜けたと思います。スワミにも今回会いに行ったけど、今度日本に行きたいと行っていました」
とチャンさんは照れながらも嬉しそうでした。
「その時は家にも遊びに来てね。逗子の海岸を散歩するのはどうですか?」
と言うと
「わぁーー。嬉しいーーー」
と喜んでいます。しばらく留学中の思い出話しに花が咲き、時を忘れて笑い転げていました。
「あれからどこにいたの?ヨーガ教えてる」
と聞くと
「今、大阪にいるんです。何もしてませんでした。なんかインドから帰ってぼーーとしてて、それから試験受けに行って、またのんびりしていて。インドの皆はニーラジとニヴェディタが結婚し、バビタマダムとデシパンデ先生が結婚した。ミタはブルーノと別れてバビタマダムの代わりにヨーガを教えていた。後は皆パッとしないみたい。マヘーシュワラナンダさんが日本でのスケジュールはアキコに聞けと言っていたから、関西でも講演するんでしょう。ちょっと顔見せようかな、と思って」
と言いました。そしてまた連絡してねと約束して電話を切りました。
その後スワミが東京にいらして再会すると
「今度はチャンは受かったようだ」
と言っていました。皆口々にチャンは京都の講演会場に全身ピンクで突然現れおおいに皆を驚かせたと言っていました。やはり彼女はなんとも目立つそして不可解なけれど愛すべき人です。
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